三味線

三味線

「三味線」と聞くと、どこか古臭い特別な音楽という印象をお持ちでしょうか?
今ではちょっと敷居の高い三味線も、元をたどれば庶民の楽器。家庭で音楽や歌を楽しむための身近な楽器だったんです。

三本の弦が張られた棹を左手で支え、右手に持った撥(ばち)を使って演奏するこの楽器は、右手に握る撥の弾き方次第で同じ音でも、跳ねたり、アクセントがついたり、余韻を残したりと、音色が変わる面白さがあります。 撥次第で音色が変わるので「打楽器寄りの弦楽器」と言われるほどです。

また、三味線を正しく構えると、すっと背筋が伸びます。いつもと違う姿勢で、ゆったりとした音色を楽しめるのも三味線の魅力の一つです。

三味線の基礎知識

三味線の基礎知識

「三味線」とは音楽の一分野ですが、同時に楽器そのものの名前でもあります。

三味線の演奏分野

三味線には、三味線の演奏がメインの場合と、歌の伴奏として三味線を演奏する場合があります。 歌の伴奏として演奏する場合でも、歌の種類によって演奏方法が異なるため、別の分野として扱われます。

津軽三味線

三味線のなかで最も有名なのが津軽三味線。テンポが速い曲が多く、唄のない独奏も聞きごたえがあります。

長唄三味線

三味線の中のクラッシックという方がいらっしゃるぐらい、基本的な技術習得が期待できます。三味線を弾きながら歌うのが基本スタイルです。

浄瑠璃

三味線の伴奏で、唄い手がひとつの物語を歌い上げる劇場音楽です。人形浄瑠璃では三味線の伴奏と唄にあわせて人形に物語を演じさせています。

浪曲・浪花節

明治時代の大道芸ともいうべき存在です。浄瑠璃と同じく歌い手が歌う物語の伴奏を三味線で行います。唄われる歌は庶民的な義理人情物語が多いことから、「浪花節」の語源になりました。

楽器としての三味線

楽器としての三味線は「細棹」「中棹」「太棹」の3つに分けられます。文字からみて想像できる通り、左手で支えている棹の太さによって呼び名が変わります。細棹が太さ2.5cm以下、中棹が2.5〜3cm、太棹が3cm以上と区別することが多いです。

演奏する曲の分野によって使用する棹の太さが変わるので楽器を購入時には注意が必要です。

はじめての三味線

はじめての三味線

好きな曲を見つけよう

三味線の基本的な演奏方法はどの分野も共通ですが、演奏の特徴が違います。まずはどんな三味線を演奏したいのか、好きな曲を探してみてください。最近ではYoutubeやニコニコ動画などの動画配信サービスで観ることもできます。好きな曲をいくつか見つけたら、その曲がどの分野の曲なのかを確認してみましょう。

三味線を学ぶ

どんな方法で始めるかで費用や必要な道具が大きく変わってきます。

三味線教室

三味線教室はお師匠さんがご自宅でお教室を開いていることが多いようです。最大のメリットは、正しい演奏方法を学べるという事でしょう。後々、自分も免状をとってスキルアップを実感することができます。ただし、別流派の曲のお稽古を付けていただくことは難しいようです。

音楽教室

三味線教室はちょっと敷居が高いと思われる方には、音楽教室というものもあります。 以前はピアノやギター等いわゆる洋楽器のみを取り扱っていた大手音楽教室でも、最近では三味線などの和楽器コースを設けることが多くなりました。音楽教室で教わる三味線は、講師の専門外のジャンルも教えてもらえるのが特徴です。

三味線教室との大きな違いは、いわゆる家元制度を導入していないため、お免状の取得ができないという事です。その分費用もかからず、熟練度に応じての月謝も変わりません。

カルチャースクール

地域のカルチャースクールでも三味線講座が用意されていることがあります。講座中の楽器は貸し出されるため、最も安価に始めることができる方法です。グループレッスンのため、一人当たりのレッスン密度は低く、上達の速度は遅くなりがちです。仲間と一緒に楽しんで学べるので、始めてみたいけれど、続けられるか心配という方に適しています。

独学

独学で三味線が弾けるようになるなんて、信じられないかもしれませんが、独学で弾き始める方は多いようです。構え方や弾き方に独特の癖がつくことがありますが、楽しんで演奏できるのであれば、それも良いですね。独学の場合は、まず初めに三味線を購入することが必要になりますので、イニシャルコストが高くなりがちなのが特徴です。

三味線のすゝめ

三味線が独学で学べることに驚いた方も多いのではないでしょうか。考えてみれば庶民の楽器、かつては欧米でいうギターのような扱いだったのかもしれませんね。 伝統楽器ではありますが、けして古臭い楽器ではありません。「今の自分だからこそ演奏できる三味線」をぜひ探してみてください。